炎のように夏


Herbie Hancock - Watermelon Man (1962)


スイカ~、すいかすいか、スイカ~
スイカ売りが道を行かないかな?
数日前までは持ち応えて今夏も乗り
切るぞと思っていたんだけど、
此処2~3日の暑さには電気クラゲ
がエリマキトカゲになるんじゃないか
と思えるような暑さです。
今夕は二男宅が来てくれて墓参りです。
日が陰った頃にと二男からの提案、
老いては子に従えでございます。


夕食も、どうなんでしょう・・・
混んでいるのかな?
孫二人の8月のバースディ祝も買って
やらなきゃ・・・


午前中、私ごとで新大阪駅まで
出かけていたのですが、
もぅ、あなた・・・・
ひとひとひとひとひと、ひとばっか。
当日券目当てが長蛇の列でした。
帰りに土産物売り場の入口付近を通り
がかると、伊勢名物の赤福餅。
墓参りの元気づけに食べさせようかと
購入いたしました。



さて、来るのに備えます。
では、昨日の続き、男のこころ編。



五山の送り火・男のこころ


予約をしていたが、相手から
急なキャンセルを受けた席に、
店の方から相席を依頼された
50歳前後だろうか、
女性が座った。


送り火の夜を伴にできるのも
何かの縁でしょうか、
と彼女に最初の言葉を送ると
控えめに笑みを浮かべ、
ご迷惑やおへんか?と返された。


その仕草の上品さに
此れからのひとときへの期待が
ふくらむ。


突然に尋ねて恐縮ですが
お食事は済まされましたか?
もし、そうでないなら
予約していた食事の相手をして
頂けませんか?


突然の申し出に
直ぐには返答できないであろう、
戸惑いをみせる彼女に
キャンセルの経緯を説明して
納得してもらった。
思わぬ成り行きに


「まるで映画のような始まりが
あるんですね、」
と彼女に言うと、
「私も女優さんになれた気分です」
と笑った。
良い年齢の重ね方をしておられる。


話題に窮することもなく
親しさを感じるのが心地よい。




「送り火を見るのは初めてでしてね」
と告げると
彼女もそうだという。


予約がドタキャンされて
男が一人で食べながら、
送り火を見ている姿を
想像して下さいよ。
どれだけ彼女の相席に
助けられたかを伝えたかった。


「お相手の方に急な都合でも
出来たのでしょうか?
「そうでしょうね、
覚悟はしていたんですよ
「そうですか・・・
それなら
私が遠慮しないで頂戴しますね^^



言葉が過ぎることに
用心をしながら、
タイミングを心得る
此方の気持ちが通じるのか、
初対面とは思えぬ雰囲気で
陽が沈み、夕闇になり、
やがて京の町が夜に向かう。


和食に似合った伏見の酒が、
彼女の頬に少し、艶のある
赤みを浮かばせる。
ほんの少しの酒が
久し振りだと言いながら、
「わたし紅くなってませんか?」
と照れくさく笑みをする。




京都市街や山の様子が窺える
広い窓ガラスに目を向けると、
彼女が反射して見える。
話しながら彼女を見て、
そして送り火の様子を見るような
何気なさを装いながら彼女を見る。
彼女が泳ぐ視線で窓ガラスを見たとき、
お互いが視線を感じて
慌てるように山の様子に転じて
逃げ場を求めた。


やがて、彼女が送り火が
点き始めたと言った。
去って行く霊の夜なのに、
ボクには何かが訪れたような
「大」の字に見える。


お互いがそれとなく
日常の話題にまで
言及できたのは驚きだった。


「初めてお会いしたとは
思えないような気がします。


「私も、・・・^^
勇気を出して来たものの、
一人で不安やったけど
来て良かった。


娘さんが夏の休暇を利用して
外国に出た留守に、
思いきって来たと言った。
もし、、、、、、
またお会いしたいのですが・・
その一言を言うタイミングが
つかめない。



そういう戸惑いの雰囲気が
流れる中で、
彼女が帰る予定の時間になった。
携帯をお持ちですか?
計算したタイミングでは無かった。
その一言は自分でも驚くほどに
自然と出た。
仕事の関係で持っているという。
そして・・・


映画のような始まりなら、
映画のようなドラマにしてみたい、
あまりに突然の出来事なので
気持ちの整理に時間が要る。
その間、一年待って、
来年の大文字さんのとき
また会えたなら縁というものを
信じられる。


「来年にお会い出来たら
そのときにしても宜しおすか?  


一年くらいの回り道なんて、
今の自分に長くはない。
突然の出来事に気持ちの整理も
必要では無いか、
彼女の少ない言葉の意味は、
そんな感じだろうか。


ただの友人とは
考えてくれないのなら、
ボクにだって一年は長く無い。
店を出て、彼女が駅まで
向かう後ろ姿を見送り、
交わした言葉の続きは
きっと探し出して来年にしよう、
簡単な事だ、
確認をし合ったわけでは無いが
出会った此の店に来ればいい。


※ この画像は越中八尾の風の盆


雑踏の中に彼女の後ろ姿が
視界から消えるまで見送った。
来年の再会を信じて、
身辺を整理をして備えよう。
たった一年で、
其の後が始まるなら
長い待ち時間では決してない。

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