DVD<小津・秋日和>


昭和35年の映画らしい。
今の時代に欲しい
緩やかさ満点の小津映画。
出演者のクレジット、
高橋とよ、の名を見て、
小津映画に欠かせない、
あのオバちゃんと顔が浮かぶ。


デビュー間無しの岩下志麻の
名が6人並んだ箇所にある。


原節子の亡夫の法事に関係者が
集まっている。
友人の中村伸郎、北竜二、他
坊主の支度が整うまでの雑談、


亡夫の兄役で笠智衆登場、
北が息子が信州旅行の際に
お世話になり「ワラビ漬け」の
土産まで頂いてと礼を言えば、
晩年は重厚な役どころが多か
った中村が、
「あれは美味かった
「しかし、なんですなぁ、
「歳をとると、ひじきに人参
「椎茸、切干し、豆腐油揚げ
「こんなのが美味く思えて来る


このセリフに痛く同感するのです。
そして、小津の映画もそうです
若い頃に観ようとも思わなかった。



舞台となるセットの作りも、
角度や仕切りを変えたりして
違うように撮影が笑えます。
料亭の部屋が家具とか置き直して
次には帰宅の住まいの部屋だとか、
職場の事務所が次には原節子と
司葉子母娘の住まいになったり。



岩下さん、案内嬢で全く個性の
無い新人の端役です。
司葉子も名を残した女優さんだ
けど自分には印象を感じなかった。
原節子、岡田茉莉子も、しかり・・



先の二人に加えて佐分利信の
爺さん3人組のやり取りが面白い
映画です。
北さん年上で60歳、佐分利に中村
50代後半、とても今の時代では
見受ける機会が少ない重厚さです。
まさに、オトナの男です。



映画の概略は夫を亡くして7回忌、
嫁と娘が居て、夫の友人3人組が
娘(司葉子)の縁談に佐田啓二を出
会わせる。
ついでに母の原節子を独りにしと
くのは勿体ないとバタバタする話。


晩春や秋刀魚の味などで笠智衆が
演じた、娘が嫁いだ後の父の立場
を、原節子が演じる母版です。

×

非ログインユーザーとして返信する