黄昏に星が流れる


二男の嫁の父系が岡山の方で
土産に頂戴した



風呂の湯の中で読んでいて
いい話だなと感じたもので
パッパと書いてはみたものの
うまく伝わるかは難しいなぁ、


黄昏流星群 60巻③


某年某夜、広島
瀬戸内に浮かぶ足子島
「静かにしろ!」
男が住まいに忍び込む。
TVで見た逃亡犯?
と問うと、
「手荒なことをしてすみません」
と、男の物腰が一変する。
「丁度、夕食の支度が出来た
ところ、一緒に食べる?」


「実は、・・・脱走したのは
あなたに会うためでした」

男の意外な言葉に女は
「?わけを聞かせて」と返す。


今から20年前でしょうか
私は青森から東京へ出稼ぎに
出て来たものの人に馴染めず
孤独の中で働く毎日でした。


ある日、働いてはいても全く
東京を知らないと思い立ち
バスツアーに参加したときの
ガイドさんが
あなた、でした。



優しく接していただいて
どことなく子供の頃に亡くした
妹にも似ていて
恋心が芽生えました。
「その後にバスを探しても再び
見つけることができなかった」


勤め先のバス会社に問い合わせる
と既に退社していると聞きました。
其の後、生き苦しさから自暴自棄、
諍いを起こし殺めてしまい懲役12年
の刑が下され、服役となりますが
模範囚となり「塀の無い刑務所」
に移転し、TVを観ていると
「ガンと闘う一人暮らしの女性」
に、あなたが出て取材されていた。
ステージ4と宣言されて残る時間を
穏やかな島で暮らしたいとの願いを
叶えた女性と紹介されて・・・


「彼女には残された時間が少ない、
いま、会っておかなければ
自分の思いが伝えられない、」

だから、脱走して探し当てたと言う。


広島警察、在籍42年、伝説の刑事と
呼ばれた三木が定年となり退職した。
彼に警察官として、どうあるべきか
を学びたいと新人が訪ねて来る。


「多大な功績の数々の中で最も記憶
に残る事件となると?」

「そうだな・・・・
今から16年前の出来事だが、
広島刑務所の開放的処遇施設から
脱走犯が出た事件となるかな・・・」


足子島に潜伏しているとの確信から
橋を封鎖し探し回ったが、
結局見つけ出せなかった。


「先輩が唯一、取り逃がした事件と
なるのでしょうか?」
と問う新人。
「そうなるんだが、6年後に脱走犯が
出頭して解決することになる」


脱走犯の話を聞いている女には出身の
福井県での貧しい暮らしで育った自分
に共通するものを感じ、
これまで幸せを知らずに独りで生きて
来た私に、
こんなに思いを寄せてくれるひとが
居たとの喜びが、
「ねっ、此処で一緒に暮らそうよ」
告げる。


やがて、思わぬ出来事として二人に
子が産まれる。
名を「かずみ」と名付けたが、出産の
無理が病身の体力を消耗させて女の
一命が尽きた。
女の住まいから一歩も出なかった男
だったが観念し幼子を抱き広島刑務所
に出頭する。


三木が担当し、事件が解決するが
2年後に男は心筋梗塞で亡くなる。


そんな成り行きだった。
思い出すように語る三木の背後から
「お父さん、私との約束の時間が過ぎ
てるよ」
と声がかかる。



確か子が居ないはずの三木に娘が居た
のかと驚く新人警察官。
「こんにちは、三木かずみです」
「かずみ・・・さん?!!」


そうだよ、と三木。
「彼が亡くなった後、施設から
かずみを引き取り、養女にした、
この年になって子育てに挑戦している」

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