土を喰らう十二ヵ月

( 一部分敬称略 )
湘南辺りに住まいする作家達が
東京へ出る際に電車を利用する
ような時代、水上勉が小林秀雄
に叱られて泣いていたのが気の
毒だったと月刊新潮の編集長を
長く勤めた坂本さんとの対談で
石原慎太郎が昭和の時代を回顧
する思い出話を語っていた。


其の後、多彩な自作により一流
作家となった水上さんは後輩に
やさしく接しておられた様子が
多くの後輩作家の記述にある。
辛酸を舐めた育ちから驕る事も
無く人に接する穏やかな心根を
持たれた方だったのだろう。


映画化された名作も多く、
「飢餓海峡」「五番町夕霧楼」
時代の悲運に泣き従わざるを
得ない女の切なさを描き、
「越後つついし親不知」では
励む気力も無く妬み深いゲス
が周辺に不幸を生み出す許し
難い物語など、
濃厚な内容から一転して、
1978年に綴った
「土を喰う日々
―わが精進十二ヵ月―」を
原案として映画化された
「土を喰らう十二ヵ月」


信州軽井沢で暮らしていた頃の
自然の恵みをいただきながら
一年の日常を営む様子を描いて
いる。
一年が過ぎれば、
季節の旬を追いかけるように
また一年が始まる。
ツトムさんを演じる沢田研二が
とてもいい。
嫁の弟夫妻の尾美&西田のバカ
っぷりもリアル感が溢れている。


自分もサンショウのような犬と
暮らす生活がしたかったな。
( 事実は「ロク」なる名 )
水上さんの住まいは軽井沢から
その後に、
北御牧村(現在の長野県東御市)
の勘六山に替わられたとか。


長男、窪島誠一郎氏も
長野県上田市郊外塩田平に
小美術館「信濃デッサン館」
(現・無言館)を創られている。


映画を観ていると姑を演じた
奈良岡朋子さんの葬儀に参列
したような気になった。
望んだ裕次郎さんとの恋人同士
を演じる機会が無かったね。


美味しそうな山椒と箸を伸ばそ
うとするところを、ピシゃッと
ダメだと断る辺りの奈良岡さん
が愉快。


若竹煮が美味そうだった。
ごま豆腐もね。
一人だと余らせるから作れないし
少量でいいから買って来よう・・

映画『土を喰らう十二ヵ月』本編特別映像(たけのこ)


やはり、誰かと一緒に食べると
美味さの格別度が増すなぁ、
そだ、
なめこの味噌汁も美味いだろうな。

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