79年 銀座の午前

昭和54年、西暦なら1979年
青葉の頃に長男が生まれた。


今朝の話しは銀座での伝聞、
其の年の盛夏、8月4日の
出来事から始まる。


銀座に喫茶店、
樹の花が開店した4日目の午前に
男女が入店、
男はコロンビア珈琲、
女はダージリン紅茶、
二人が誰だかは入店時にわかっている。
朝の陽射しと静寂な店内に
リンダ・ロンシュタットの歌が流れ、
女が音を大きくしてくれと言った。


記念にサインをと願い出ると快く
受けてくれた。
店のメニューを書く予定だった用紙を
差し出すと
女が、
「日の神は女神だった!」
と、書き・・・
続いて男が、
絵を描いて戻って来た。
しばらくして女から
「さっきのサインを」と
求められて、
「夢をもとう」と書き加えた。


翌年の暮れ、
ニューヨークの自宅の前で、
男は、見知らぬ者に射殺される。
女の名が、
小野洋子と記されてある。
そして、絵を描いた男の名を
世界は、
ジョン・レノンと記憶している。


×

非ログインユーザーとして返信する